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研修レポート

2024年3月29日
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その6 生徒が授業に興味を持つしくみを作る

学校の授業だけでなく企業研修の時でも「楽しい!」「面白い」と思ってもらう“しかけ”は必須です。
このしかけの代表的なものとして、例えば
・授業の冒頭に、授業内容に関連する身近な事例を挙げて、この授業(研修)の必要性を理解してもらう
・アイスブレイク(緊張を和ませるためのコミュニケーションや簡単なゲーム)を行う
 *アイスブレイクは、本題とは関連しない・つながらない内容、じゃんけんなどの遊びでも良い 

ポイントは、「本題からスタートしない」こと。
最初に授業(研修)に積極的に参加する環境や気持ちを作る。
気持ちが乗ってきたところで、本題に入ります。

企業研修の場合は、「会社の命令で参加している」という方が大半です。
研修に対して「後ろ向きな気持ち」つまりやる気のない人もいらっしゃいます。
多忙な方も多いのでこれは仕方がない面もあります。
しかし、この後ろ向きな気持ちの人を、少しでも前向きに研修に参加するように
ファシリテーションすることも、講師に求められます。
グループワークを多く行う研修や授業では、やる気がない人がグループにたった1人いるだけで
グループワークの成果にも悪影響を及ぼすからです。
そのため、講師(先生)は研修や授業の環境作りには配慮しているのです。

この環境作りの重要性を私に教えてくれたのは、学校の生徒・学生たちでした。
自分の授業に対する評価は、すぐに彼らの態度に出ます。
生徒や学生は、正直。授業が「面白い」「自分のためになる」と思えば
集中して授業に臨みます。
しかし、授業が「面白くない」「自分にためにならない(気がする)」と思うと
途端に集中力がきれる。寝始めます。
一方で、社会人は面白くない話でも聞いてくれます。
社会人はお行儀の良い人たち。つまらない話でも最後まで聞いてくれます。
ただ、つまらない・役に立たない研修だと、研修に対する評価は下がります。
次の研修の機会はない可能性が大となる。

授業や研修に「興味を持たせる」しくみ作りについて
今回は研修の話が中心になりましたが
「本題からスタートしない」は特別支援学校の授業でも同じです。

2024年3月22日
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その5「伝わっている」と思い込まない

授業が本格的にスタートする前に、校長先生と話す機会がありました。

「授業を進行する中で、生徒とのコミュニケーションで、注意すべき点は何ですか?」と
校長先生に質問をすると
「自分が伝えた内容が、伝わっていると思いこまない」というご回答でした。
例えば、軽い世間話のような会話や、深堀していない内容の会話は
軽い知的障がいがある彼らとも可能。コミュニケーションは成立します。
しかし、少々複雑な話をした際の「わかった?」と確認した時の
彼らの「わかりました」という返答は、「聞きました」という意味の場合が多い。
つまり「理解は出来ていないけれど、聞きました」という意味となる。

「わかりました」=「聞きました」が多いことを留意して
指導を進める必要性を教えていただきました。

この「相手が本当に理解しているか、確認する」という点は、相手が健常者でも必要です。
特に新人に対しての、「わかった?」は禁句にしても良い位です。
相手の理解度を確認する際の「わかった?」という問い。これは便利で使いがちな言葉です。
しかし「わかった?」と訊かれると、わかってなくてもつい「わかりました」とうなずいてしまう。
あるあるです。
また、この「わかった?」という問いは、「どのように答えたらわからない」と言う新人はとても多い。
曖昧な問いで具体的でない質問は答えにくいとのこと。

しっかりと理解させたい内容を教える場合は「1つ教えたら止めて、相手の理解度を確認する」。
相手の理解の確認の言葉がけは、「ここまでの所で、わからないことはない?」と範囲を限定して確認する。
途中で止めて確認するため、時間を要します。
しかし、この丁寧な進め方が、相手の理解度を高めるため、早く身につけることができる。
「急がば回れ」は、教育では必須です。

2024年3月18日
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その4 特別支援学校の先生の様子

前回まで、私が特別支援学校で教えることになったいきさつをお伝えしました。
ここで、今問題になっている、「公立学校の先生の働き方状況」
私が実際に勤務している特別支援学校の先生方について、私の見解をお伝えします。

昨年末(2023年末)もニュースになっていましたが、学校の先生の休職数は増えています。
この休職者数の増加の原因に、「誠実で生徒思いの先生方の善意に甘え続けた結果、頑張り続けた先生が疲れ切ってしまった」。
これがあると、私は考えています。
「生徒のために真摯にがんばり続けている」先生がとても多い。
もちろん、全ての先生がまじめでなはくて・・・例外もいらっしゃるでしょう。
ただ、真摯に頑張り続けている先生の比率は、とても高いと実感しています。

そもそも、まじめで思いやりのある人が、教育を志すことが多い。
今のこの日本の公立学校は、志の高いまじめで思いやりのある先生方の善意でなんとか成り立っています。
しかし、頑張っても報われない状況が続けば、心身共に疲弊し休職、というのは人間ならば仕方のないことです。
疲れ切った状態ではがんばれない。

モンスターペアレンツの話も出ます。
常識では考えられない事を言う保護者は、存在します。
一方で「学校にあれこれ言ってしまう保護者の気持ち」を、私は理解できます。
一般的に、クレームを色々言う人の心の中は、不安な気持ちを抱えています。
先行き不透明で不安要素しかないこの日本で、どうすれば自分の子どもが健やかに育つのか。
親として何をすべきか。特に一人目の時は、不安しかありません。
不安が大きくなれば、大人でも感情的になる。
結果、理不尽なことを言ってしまう。
私も長男の時は不安しかありませんでした。
何事も初めての事は、不安なものです。

では、この状況を改善するためには、どうすれば良いのか。
それは「改善すべきことを一つずつ、現場のみんなで実行していく」。
やはりここからだと思います。そして、情報共有も徹底する。

保護者が出来る事は、子どもについて知らせた方が良いと思うことを先生に伝えておく。
必要なコミュニケーションは積極的にとっていく。
そして、先生を尊重する。
親が先生を尊重すれば、子どもも尊重します。

業務改善については、「昨年よりほんの少し、2%だけど職場環境は改善している」という実感があると、人は前に進むことができます。
関係者全員で、変えた方が良いことは変えていく。
少しずつ改善していく。
改善の歩みを止めない。継続する。

現場の先生方は優秀な方が多いので
業務改革は現場主導で進めた方が良い結果につながると思います。
(現場を知らない人が、口出ししない!)