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研修レポート

2024年5月15日
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「わからない」「知らない」と言えると、楽(ラク)になる

ある程度のキャリアが構築されると、「わからない」「知らない」と言えなくなります。

「経験や知識があるのに、『知らない』なんて恥ずかしくて言えない」
「わからないなんて言ったら、部下にバカにされそう」
「知らないのは、自分の勉強不足。知らないことをなくさないとダメ!」など。
私も以前はこのように思っていました。年長者である育成者が「わからない」なんて言えない。言っちゃいけない。

この考え方を変えられたきっかけは、情報過多の現状についていけないことを、はっきりと自覚した時でした。「新しい事がどんどん出てくるこのご時世、全てを把握するなんて、不可能。無理」と、あきらめられたこと。これは私にとって、とても大きかった。

では、どうするか。
素直に「わからなかったら、教えてもらうの実践あるのみ!」と腹をくくりました。

例えば、自分がわからない話をしていたら、「今の話の○○がわからないので、良かったら教えてもらえますか」とたずねる。質問すると、すぐに教えてもらえます。そして、最後は「教えてくれてありがとう!」とお礼で締める。

ここで年長者が気になることは、「教えを請うなんて、バカにされそうだ」という懸念。
私もこの懸念は長年抱えていました。しかし、若者に「わからない」と正直に伝え、教えてもらって、バカにされたことは無。ありません。むしろ、「教えてあげられた!」と若者は喜んでいる。「経験の少ない私でも役に立っているようだ」と自己有用感を得て、うれしそうな若者が多いのです。

教える仕事を生業としていると、「自分が教える内容については、自分は全て知っているべき」と考えます。当然、知っていなくてはいけないことはある。しかし、新しい事を全て100%知っておくことは、年代を問わず、今はもう不可能。学校教育でも、調べてわかることを覚える学習よりも、調べた上で考えて自分の意見をまとめる教育が既に進んでいます。

「知らない」「わからない」を伝えることを、恥ずかしく思う必要は全くない。「知らない」「できない」と言っていい。知らなかったら、わからなかったら、教えてもらう。教えてもらったら、「ありがとう」と感謝を伝えればいい。

わからないと言いにくくなっている今、年長者はこの「わからない」と言ってもいい!ということを、お手本として見せてくことが必要だと思います。